「フッ素って、体に悪いものじゃないの?」「子どもに使っても大丈夫?」
歯みがき粉や歯科医院で使うフッ素について、こうした心配の声を聞くことがあります。大切なお子さまの口に入るものだからこそ、気になるのは自然なことです。福岡市東区千早、香椎宮前駅から徒歩1分のチロル歯科です。
前回の「子どもの虫歯はうつる?」の記事に続き、今回はフッ素は子どもに使っても大丈夫かという疑問に、学会や厚生労働省の資料をもとにお答えします。フッ素のしくみ、とりすぎの心配、年齢に合った使い方を順にご紹介します。
「フッ素」と「フッ化物」はどう違うの?
フッ素は、もともと自然の中にある元素で、お茶や海産物など、ふだんの飲み物や食べ物にも含まれています。[1・5]
歯みがき粉や歯科医院で使うのは、フッ素がナトリウムなどと結びついた「フッ化物」(フッ化ナトリウムなど)です。このブログでは、分かりやすさのために「フッ素」と書いています。
最近、ニュースで「PFAS(ピーファス)」という有害な化学物質が取り上げられ、「フッ素も同じでは?」と心配される方もいます。日本小児歯科学会は、PFAS は人工的に作られた「有機フッ素化合物」で、歯科で使う「無機フッ素化合物」とはまったく異なる物質だと説明しています。[1]
フッ素が虫歯を防ぐしくみ
虫歯は、歯垢(しこう)の中の細菌が糖分から酸を作り、その酸で歯が溶けることで進みます。フッ素には、主に次の2つの働きがあるとされています。[2]
- 歯を酸に溶けにくくする:歯の表面を、酸に強い状態にします。
- 溶けた部分が元に戻るのを助ける(再石灰化):酸で溶け出した成分が、歯に戻るのを助けます。
「溶ける」と「戻る」のバランスについては、前回の記事でくわしくご紹介しています。
フッ素を使う場合と使わない場合の違い
海外の研究をまとめた報告(コクラン・レビュー)では、子どもがフッ素入りの歯みがき粉を使った場合、フッ素の入っていない歯みがき粉に比べて、永久歯の虫歯が平均で約24%少なかったとされています。[3]歯科医院でのフッ素の塗布(フッ化物バーニッシュ)でも、虫歯が少なくなったという報告があります。[4]
また、WHO(世界保健機関)は歯みがき粉のフッ素濃度を1000〜1500ppm としており、1000ppm より低い濃度では、虫歯予防の効果が認められていないと紹介されています。[5]
ただし、フッ素だけで虫歯を防げるわけではありません。歯みがきで歯垢を落とすこと、甘いものの量と回数に気をつけることと組み合わせることで、虫歯の予防が期待できます。[6]
とりすぎの心配はないの?
フッ素も、塩と同じように、とりすぎれば体に影響が出ます。だからこそ「決められた量を守ること」が大切です。[1]
一度にたくさん飲み込んだとき
一度に大量に飲み込むと、吐き気やおう吐などが起こることがあります。[1]歯みがき粉は、お子さまの手の届かない所に置き、チューブごと口に入れたりしないよう気をつけましょう。[7]
4歳ごろから行う「フッ素洗口」(ぶくぶくうがい)について、厚生労働省は、洗口液を1人1回分すべて飲み込んでしまっても、直ちに健康被害が起こることはないと考えられているとしています。[8]小さいお子さまのうちは、保護者の方がそばで見守ってあげてください。
長い間とりすぎたとき(歯のフッ素症)
歯があごの骨の中で作られている時期に、長い間、量の多いフッ素をとり続けると、歯の見た目に変化が出る「歯のフッ素症」が起こることがあります。[8]
日本小児歯科学会は、1歳と3歳のお子さまを例に、食べ物や飲み物からとるフッ素に、推奨された量の歯みがき粉の分を足しても、1日にとってよいとされる量(耐容摂取量)には届かないと計算しています。[5]
年齢に合った歯みがき粉の量と濃度
4学会合同の推奨(2023年)では、フッ素入り歯みがき粉の量と濃度の目安は次のとおりです。いずれも、就寝前を含めて1日2回の歯みがきがすすめられています。[6]
- 歯が生えてから2歳:米粒程度(1〜2mm程度)。濃度は1000ppm(日本の製品では900〜1000ppm)
- 3〜5歳:グリーンピース程度(5mm程度)。濃度は1000ppm(日本の製品では900〜1000ppm)
- 6歳以上(大人も):歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)。濃度は1500ppm(日本の製品では1400〜1500ppm)
フッ素の濃度は、歯みがき粉の箱やチューブに「1450ppm」「950ppm」のように書かれていますので、おうちで一度確かめてみてください。1500ppm 近くの歯みがき粉は、6歳未満のお子さまには使わないようにしましょう。[5・7]
歯みがきのあとは軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回だけにします。吐き出しやうがいがまだ上手にできないうちは、量を守り、ティッシュなどで軽く拭き取ってもかまいません。[5・6]
おうちのケアと、歯科医院のフッ素塗布の役割
フッ素の使い方には、主に次の3つがあり、それぞれ役割が違います。
- 歯みがき粉(毎日・おうちで):低めの濃度のものを、毎日の歯みがきで使います。
- フッ素洗口(4歳ごろから):うがいが上手にできるようになってから行うもので、おうちのほか、園や学校で行われることもあります。[8]量や濃度は、歯科医院でご相談ください。
- 歯科医院でのフッ素塗布:9000ppm 程度の高い濃度のものを、歯科医師や歯科衛生士が歯に直接塗ります。[2]
チロル歯科の小児歯科は、乳歯が生え始める生後6か月頃から受診でき、フッ素塗布やシーラント、歯みがき指導で虫歯予防をお手伝いしています。お子さまに合った歯みがき粉の選び方も、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
歯みがき粉を飲み込んでしまいました。大丈夫ですか?
年齢に合った量を守っていれば、ふだんの歯みがきで少し飲み込む程度で心配することは少ないとされています。[5]ただし、チューブから大量に食べてしまったときなど、気になることがあれば、かかりつけの小児科や歯科医院にご相談ください。
フッ素を使わずに虫歯を予防したいのですが…
ご家庭の考えを大切にしながら、仕上げみがき、おやつや飲み物の取り方、シーラント、定期的なチェックなど、ほかの方法を組み合わせることができます。フッ素について気になる点も含めて、遠慮なくご相談ください。
大人にもフッ素は役に立ちますか?
フッ素は、大人の虫歯や、年齢とともに増える歯の根もとの虫歯の予防にも用いられています。[2・8]チロル歯科では、大人の方にも定期検診のときのフッ素塗布をおすすめしています。
まとめ:量を守って、上手にフッ素を使いましょう
フッ素は、年齢に合った量と濃度を守って使うことで、虫歯の予防が期待できる成分です。心配な点があるときは、そのままにせず、歯科医院で気軽に聞いてみてください。
千早・香椎周辺で、お子さまの歯みがきやフッ素の使い方について気になることがある方は、どうぞチロル歯科へご相談ください。
チロル歯科
福岡市東区千早5-12-11 ロング21-2F
西鉄「香椎宮前駅」から徒歩1分
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ご不明な点は、お問い合わせページからお気軽にご連絡ください。
参考資料
- 日本小児歯科学会「PFAS と歯科で使用する無機フッ素化合物について」(2023年3月) https://www.jspd.or.jp/recommendation/pdf/202303.pdf
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「フッ化物」 https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05.html (歯面塗布は https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_04.html )
- Marinho VCC, et al. Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database of Systematic Reviews 2003 (CD002278). https://www.cochrane.org/evidence/CD002278_fluoride-toothpastes-preventing-dental-caries-children-and-adolescents
- Marinho VCC, et al. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013 (CD002279). https://www.cochrane.org/evidence/CD002279_fluoride-varnishes-preventing-dental-caries-children-and
- 日本小児歯科学会「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」の補足版(一般の皆様向け)(2023年2月) https://www.jspd.or.jp/recommendation/article20/
- 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会(4学会合同)「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023年1月) https://www.jspd.or.jp/recommendation/article19/
- 日本小児歯科学会「濃度の高いフッ化物配合薬用歯みがき剤の使用について」(2018年12月) https://www.jspd.or.jp/recommendation/article14/
- 厚生労働省「フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方」(2022年12月) https://www.mhlw.go.jp/content/001037972.pdf